愛してるの代わりに
突然のさよなら
☆突然のさよなら☆



それから1年後。

クラスも離れ、雛子から慎吾に直接話しかける回数が減り。

慎吾もまた、上級生の引退で部活が忙しくなったこともあり、ふたりの距離は昔よりも離れていた。




そんな時、慎吾の母親と姉が、雛子の家を訪れていた。




「雛ちゃん、うちの慎吾、タレントオーディションの最終選考まで残ったのよ!」




「はあ?」

思わず出た声に、すかさず雛子の母親が、

「雛ってば、女の子なのにそんな声出すのやめなさい」

とたしなめる。




「いやいやおばさん、慎くんがタレントって何? オーディションって?」

「最初は私が雑誌で見つけたの。なんか面白そうだなって思って」

慎吾の母親の隣で、姉の鈴花がニコニコと微笑む。

「なんか合格したら賞金もらえるし、姉の私から見てもイケメンの部類に入ると思うのよ」

「で、鈴花の話聞いてたら私も自分の息子の男子力を試したくなってね!」

「……っていうことは、慎くんには……」




「もちろん内緒で応募したわよ、決まってるでしょ!」



ああ、ふたりの言葉の最後にハートマークが見える……。

宮脇家の女性、恐るべし。
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