愛してるの代わりに
2学期になり、慎吾の転校で一瞬騒がしかった学校も少しは落ち着き、受験モードを迎えていた。
そんな中、学校から帰った雛子は、玄関先で慎吾の母親に声をかけられた。
「雛ちゃん、慎吾のことでちょっと相談に乗ってほしいの」
母親の話だと、こちらの学校と転校先の学校との授業の進行具合が違っていて、受験勉強どころか今の授業にもついていくのが大変らしい。
併せて慎吾は10月からのドラマの撮影も入っていて、学校自体にも毎日通える状態ではない。
「事務所の人が勉強教えてくれたり色々とやっては下さってるらしいのだけど、もう少し自分でも努力したいって思いが慎吾にあるらしくて。それで私たちに何かいい方法はないかって連絡してきたの。主人や鈴花と話しているうちに、雛ちゃんなら成績もいいし、何か慎吾の助けになってくれるんじゃないかってことになって」
慎くん、変わってないなあ。
いつも周りのことを考える努力家の慎吾のままでいることがわかって、雛子はほっとする。
そんな慎吾を助けたい。
自分に出来ることって何だろう……?
「ノート! 私のノートを送るっていうのはどう?」
「雛ちゃんのノートを?」
「うん。私が毎日受ける授業のノートを慎くんの分も作るの。それを何日かまとめて慎くんに送ってあげればいいんじゃないかなあ?」
「でも雛ちゃんの負担にはならない?」
「もちろん大丈夫。ノートを見返しながら書き写すから私の復習にもなるし。自分の為にもなるし、慎くんのお役にも立つのなら一石二鳥だよ!」
雛子の笑顔に安心したのか、慎吾の母親は「じゃあ、お願いできる?」と、優しく微笑んだ。