愛してるの代わりに
雛子が未来と友情の再確認をしていた頃。
慎吾は久しぶりに自分の実家へと帰省していた。
隣のソファには昨年結婚して家を離れたはずの姉が、少しふくらみの目立ってきたお腹を抱えて座っている。
「まだ里帰りには早いんじゃねーの?」
「予定日は来年1月だけど、実家に帰ってきててなーにが悪いのよ」
ハキハキしていてきっぱり物を言うしっかり者の鈴花には、昔から慎吾は頭が上がらない。
口で言い合いしてもかなうはずもないと気付いてからは、無駄な労力を使わず慎吾が引くようにしている。
「そういえば、最近雛ちゃんと連絡取ってる?」
突然雛子の名前を出され、持っていたコップを落としそうになる。
鈴花は、動揺した慎吾には気付かなかったらしい。
「うん、時々電話で話すこともあるけど?」
「それがさあ、さっき家の前で雛ちゃんのお母さんに会ってね、誰かいい人いないかって聞いてくるのよ」
「いい人?」
「そ。雛ちゃん未だに浮いた話がないから、お見合いでもさせたほうがいいんじゃないかって話になってるみたい。あんなに可愛いしいい子だから、そんな心配しなくても彼氏のひとりやふたりいるんじゃない、っておばさんには言ったんだけどね」
「ふーん」
興味ないフリをしながらも、頭の中で昨日の告白がよみがえる。
突然の雛子からの告白。
もしかしたら周囲の空気を察してのことなのかも知れない。