愛してるの代わりに
「私としてはさぁ、慎吾のお嫁さんになってほしかったんだけどねぇ」
「え? 俺の?」
「そ、雛ちゃん見てたら私も妹が欲しくてさ、小さい頃に『私も雛ちゃんみたいな妹が欲しい!』ってお母さんとおばさんの前で言ったのよ。そしたらお母さんが言ったの。『雛ちゃんが慎吾のお嫁さんになってくれたら鈴花の妹になるわよ』って」
「俺覚えてないよ、そんなの」
「そりゃそうでしょうよ。多分私も4歳とかそのくらいだから、アンタたち2歳になるかならないかくらいよ。おばさんも喜んでね、ふたりを婚約でもさせようか、なーんて盛り上がってたんだけど。いつの間にか慎吾は彼女作っちゃうし、別れたと思ったら東京行っちゃうしさー、私の計画丸つぶれよ」
東京に行く原因を作ったのは自分じゃねぇかよ。
声を出すと倍になって返ってくるので、心の中で小さくツッコむ。
まさか小さい頃にそんな話が繰り広げられていたとは思っても見なかった。
雛子も覚えてはいないだろう。
今度気が向いたら話してみよう。そう思いながら慎吾はソファから立ち上がった。