愛してるの代わりに
崎坂家と宮脇家から歩いて5分くらいの所にある公園は、昔からふたりの遊び場でもあった。
大きくなって慎吾と遊ばなくなってから、また慎吾が東京へ行ってしまってからも、時々雛子はその公園へと足を延ばしていた。
家に帰りたくないとき、ひとりで何かを考えたいとき、そんな時はいつも、公園のブランコに腰を掛けてふわふわとブランコに揺られて気持ちを落ち着かせていた。
今日も慎吾の返事を聞く前に気持ちを落ち着かせようと、未来と別れてから公園にやってきたのだが、困ったことにブランコには先客がいた。
遠目で見る限りだと、成人した男性にみえる。
ああ、今日はブランコ乗れそうにないなあ。
がっかりした気持ちで公園を後にしようとしたその時、
「雛!」
聞き覚えのある声が公園に響き渡った。
「……慎くん!?」
東京にいるはずの慎吾が、なぜか地元の公園にいる。
自分は今、夢でも見ているのではないだろうか。
「痛い」
頬をつねってみるが、夢ではなさそうだ。
「つねったってまばたき何回もしたって夢じゃねぇよ」
確かに、目の前の慎吾が消える様子はない。
「ちょっと時間いいか?」
首を縦に振り、促されるままブランコへと足を向ける。
慎吾がブランコに腰を掛けたのを確認し、雛子も隣のブランコに腰を下ろした。