愛してるの代わりに



「それでさ……」

「うん」

「先に雛に言われちゃったけど、俺も雛のこと、好きだ」

だよね、慎くんは私のこと好きって……、え?

え? え? え!?




「ええーウグググ」

「大声出すな、近所迷惑になるっ!」

「フガフガフガフ」

「手ぇ離すぞ、絶対叫ぶなよ、約束だぞっ!」

コクコクコク。

何度もうなずく雛子を確認して、慎吾はゆっくりと雛子の口元に置いていた手を離す。




「慎くん、い、今なんて!?」

「言葉の通りだ。俺は雛のことが好き」

まさかそんな。有り得ない。

もしかしてこれはドッキリか? ドッキリなのか?

「そんなにキョロキョロしても隠しカメラとか仕込まれてねぇから」

「そ、そう……?」

「ホントは自分から言いたかったんだけどなあ。雛に先越されちゃったよ」

相変わらずのマイペースっぷりでブランコを漕ぎながら、慎吾の告白は続く。




「東京出てきて、仕事と勉強の両立大変で。雛から届く勉強ノートが一番の励みになった。ノートを見るたびに、『頑張って』って雛がいつも応援してくれている気がして。まあ、その頃は自分の気持ちに気付くことはなかったんだけど」

「でしょうね。周りにキレイな人いっぱいいるし、嘘か誠かわからない熱愛報道とかありましたしね」

「その件に関しては今度じっくり追及してもらっても構わないから。とにかく! 俺の中で雛はずっと大事な存在だった。恋愛感情抜きにしても家族と同じくらい大事な存在だったの!」

それだけはっきり言い切られては何も言い返せない。
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