愛してるの代わりに



一方、恋人である咲良。

慎吾とは事務所に入った時期もそう変わらず、デビュー作のドラマも同じ、まさに『同期』の関係の咲良は、デビュー後ティーンファッション誌の専属モデルとなり、年齢を重ねると共に雑誌は変わるものの、同年代からの女性の絶大なる支持を受けるカリスマモデルである。

咲良が紹介したり着こなした商品などは掲載直後から飛ぶように売れ、その現象は名前をもじって『サクラ咲く』などと言われるほど。

数年前に交際を世間に知られることになったが、美男美女のお似合いカップルとしてファンからも温かく見守られているふたりなのだ。




いつも流行にはアンテナをしっかりはっている未来はもちろんのこと、そこまで最先端をいかない雛子でさえもしっかり知っている人気者ふたりが急に現れたのだから、固まってしまうのも無理はない。

静寂を破ったのは、雛子よりは復活の早いしっかり者の未来だった。




「ご挨拶遅れました。私、宮脇と雛子の中学時代からの同級生の、大西未来と申します。百貨店で『プチ・リス』の販売員をしています……ほら、雛子も自己紹介」

「あ、さ、崎坂雛子です。地元で地方公務員やってます。は、はじめまして」

「はじめまして。ふたりとも可愛くてお兄さん嬉しいなあ……イテっ、咲良テメー思いっきりぶつなよ」

「ホントにお調子者なんだから。ごめんねぇ、ふたりとも」

どうやら4歳年下の咲良の方が主導権を持っているカップルらしい。




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