愛してるの代わりに



「さ、とにかく部屋に行こ」

急にドタバタと帰った翔と咲良に少しびっくりする雛子の背中を、せかすように未来が押す。

テキパキと未来がチェックインをすませ、エレベーターホールへと向かう。

「ねぇ、未来ちゃん」

「何?」

「今回さぁ、ホテルのグレードいつもより高くない?」

「大丈夫大丈夫。今回すっごくお得なプラン見つけたから、普段泊まるホテルと同じくらいの値段で泊まれるのよ」

ホテルに到着したときから気になっていたことをエレベーターの中で聞いてみると、さらっと答えが返ってくる。

確かに未来から提示された旅行代金は思ったほど高額ではなく、むしろ安いくらいだったので、雛子はこの時、未来ちゃんはよほど格安なプランを見つけたのだなあくらいにしか思っていなかった。




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