愛してるの代わりに
「そういうの、イヤ?」
「嫌じゃないけど」
「けど?」
「あんまり一緒に居られないから、ここまで優しくされちゃうと離れがたくなっちゃうかな、って思うの」
勇気を出して本音をぶつけてみると、雛子の髪で遊ぶ慎吾の指が止まった。
「慎くん?」
「前言撤回。雛は無自覚にあまあまタイプだ」
「へ?」
何事かわかっていない雛子を見て、慎吾はクスクスと笑う。
「いいよ、そのままで。っていうかそのままでいて。雛は雛のままで」
「?? うん。わかった」
「わかればよろしい。じゃ、俺からのお願い。時間が来るまでこうして抱きしめててもいい?」
「うん……!」
そして早朝、朝食を食べ終えた慎吾は、雛子に幸せな気持ちを残して仕事へと向かい。
雛子は未来と合流し、昨夜のことを色々と聞かれながら親友との旅行を楽しんだ。