追憶のエデン
途中で一軒のお店を見つけ中へと入ってみると、そこにはビリヤードやダーツなどが何台も置かれており、奥の扉の向こうには射撃場があるという。


音楽がガンガン鳴り響く中、得意だというグレンに教えて貰いながら思いっきり遊んだ。
得意と言うだけあって、どれをやらせても上手なグレンのお蔭で、あたしは初心者レベルからかなり上達し、ゲームを心から楽しむ事が出来大満足だった。



「っはー!
すっごく楽しいね!ダーツの矢が綺麗に真ん中に刺さった時なんて、すっごく興奮したもん!!」


「あれはミラクルなんじゃなーい?
って、俺が教えてあげたんだから上達するのは、当然、だけどねっ!」


「~~~意地悪っ!」


ひとしきり遊んだ後、喉も乾いたしお腹も空いたという事で、遊技場を後にしたあたし達はさっきはどうだったとか、アレはすごかったとか興奮冷めやらぬ状態で、さっきみたいな話しを色々しながら、グレンのおすすめのお店へと向かっていた。



ほんの数分歩くと街の喧騒は身を潜め、静かな舗装されていない街道へと変わると、大きなゴシック様式の大きな石橋が現れ、その先は広大な湖に浮かぶ孤島へと繋がっていた。そして橋を渡りきると、今度はお城の門の様な大きく豪華な門を潜る。


するとさっきまで若い男女で振るわっていたのに、ここはそれよりも艶っぽい印象を与える様な街が広がっていた。


優雅に馬車やクラシカルな車が時折横を通る。
そして大きく立派な洋館がいくつも道に沿って建てられていた。
良く見れば日本の遊郭の様になっていて、ロートアイアンのフェンスの向こうには、大きく胸元の空いたセクシーなドレスに身を包み、ゴージャスな装飾品身に付け、派手な化粧を施した女の人が、色っぽく誘うような視線を外で群がる男の人達に送っていた。


「随分、さっきと雰囲気が違うねっ!」


この何とも言えない妖艶な雰囲気に何処か気まずくなりグレンに明るく声を掛けると、いつもと変わらない調子で「ちょっと大人な街だよねー」とニコニコしながら、大して気にする事なく進んでいく。
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