オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
さやかは私をじっと見る。

「……想太くん、私といる時、間違って私を“梨聖”って呼ぶのよ。それに自分は気づかないみたい。私は訂正しないし」

「……そうなんだ」

私は相槌を打つことしかできなかった。

「私といても、ぼんやりしてることが多いし、想太くんの家にある、ミッキーマウスの置時計、あれって梨聖がプレゼントしたものじゃない?」

想太の誕生日に、確かに贈ったものだ。

私と別れても、まだ捨てていなかったのか。

「……そうだけど」

「だと思った。想太くんがミッキーマウスのものなんて、自分で買うわけない。今でも大事に使ってるわ」

「そうなんだ」

私はワインを一気飲みした。空になったグラスに、手酌でワインを注ぐ。

さっきはさやかが注いでくれたけれど、今は彼女は話に夢中だ。

「……想太くんは、まだ梨聖のことが好きなのよ」
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