好きになんか、なってやらない
今までずっと、男の人には表の顔と裏の顔があると牽制してきてたけど
それは女の人でも同じなのだと実感する。
女の子として可愛らしかった彼女は、私を見るなり、いっきに敵意むき出しの女になった。
ああ、なんていうか……
「美空、玲奈にその手は使えないぞ」
「は?」
「ふふっ……」
滑稽すぎて笑えた。
「何笑ってんのよっ……」
「いえ……。ころころよく表情が変わる人だなと思って」
「バカにしてんの?!」
「事実をそのまま伝えただけです」
彼女からの敵意の眼差しが、どんどん強くなる。
きっと彼女から見ると、私はとんでもなく腹立つ対象だろう。
私も、女の子らしくぶりっこした子は苦手だ。
テレビや雑誌の中だと、静止画だったから彼女の存在がすごく可愛く綺麗に見えたけど、動画として見る彼女は、自分の中の印象をがらりと変えた。
「じゃあ、俺らは帰るから」
「凌太っ……」
いつまでもこんなところにいるわけにもいかないと、凌太が私の手を取って歩き出した。
幸いにも、廊下には誰もいなく、私たち三人だけ。
いや、幸いなんかじゃない。それを幸ととったのは彼女のほうで……
「あたしっ……
ずっと凌太が好きだったよ!!」
背中を向けた凌太に向かって
突然の告白を叫びだした。