好きになんか、なってやらない
 
喝を入れてシャワーから上がったけど、まだ凌太の姿はなかった。


遅い。
コンビニといっても、家のすぐ傍。

せいぜい、10分くらいでいつも戻ってくる。

だからシャワーを浴びていれば、もう帰ってくると思っていたのに、その姿はまだなかった。


何か別の用事?
そう思い、鞄にしまってあった携帯を取り出した。

開いた画面には、案の定ラインを受け取った通知が記載されていて……



【やり残した仕事があったから、ちょっと会社に行ってくる。
 お昼前には戻るから】



と、凌太から来ていた。


何かトラぶったのかな……。
それとも、週末締めのもので何か忘れたのか……。

昨日は直帰だったみたいだし、やり忘れたことがあってもおかしくない。

そんなことを思いながら、そのままなんとなく携帯をいじり続けていると、


【最悪だぁ!会社に携帯忘れて、今ようやくゲット!!】


と、真央から届いた。

どうやら、昨日携帯を持って帰るのを忘れて、今日朝一で取りに来たらしい。
そして誰かに愚痴を吐きたくて、私へと送っている。


「……」


べつに、疑っているわけじゃなかった。
ただなんとなく、確かめたいだけだった。



【お疲れ。
 ねえ、そこに凌太いる?】



本当に、凌太が会社に行っているか……無性に気になったんだ。
 
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