桃の姫〜最強姫の愛した族〜
「いえ、僕は麗が楽しそうならそれでいいので」


そう言って麗を見つめる瞳はどこか優しくて。


どれだけ麗を大切にしているかがわかる。


この双子にも何かあると思うとる。


だけど、今は仲間やし、人には秘密にしたい過去っちゅうもんがあるんや。


2人が言ってくるまで、俺は黙って見守るだけや。


「それで、光汰さんは何を考えてるんですか?」


「んー、桃姫のこと…かな」


「桃姫?」


こくんと頷く。


その視線の先には、未だに笑っている桃姫。


やっぱり、何かが引っかかる。


「玲也もさ、何か感じんかったか?」


「感じる…ですか?」


「おう。桃姫の戦い方、誰かにそっくりなんや。だけど、どんなに考えてもわからんねん」


顎に手をつけ、う〜んっと首を傾げる。


玲也ならわかるやろか。


ハッキングは得意中の得意で、白龍の情報係である玲也。


俺にわからなくても、玲也にはわかることもあるかもしれへん。


…頭を使いすぎて頭痛もしてきたし、ここは玲也に頼る他ないやんな?


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