桃の姫〜最強姫の愛した族〜
「サンキュー。着替えてくるわ〜」


「はい!その間にシノ起こしときますね!」


「ん、よろしく」


いつの間に寝たのやら…。


まっ、それだけここが安心するってことだからいいんだけど。


荷物をイスに置き、部屋の奥にある総長部屋に入る。


ひんやりと冷たい空気が肌に触れる。


ここに入るのも久しぶりだな。


クローゼットの1番上の引き出しを開けると、キレイに畳まれた〝私〟の服。


黒色の服に月を背にした狼が描かれたパーカーは俺のお気に入り。


これを着て、半ズボン、膝まである靴下を履く。


そして最後に、ウィッグを取れば…桃姫の出来上がりだ。


っと、口調も女口調に戻さねぇと。


「んんっ!」


…よし、大丈夫。


「ユズさん!シノ起きましたよ!」


「ありがとう。今行くね」


すごい音を立てて入ってきたユキに微笑むと、なぜか真っ赤になった。


…え、何で真っ赤に?


というか、タコ見たいっ。


「…やっぱり亜柚菜さんはそっちの方が似合ってます」




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