桃の姫〜最強姫の愛した族〜
久しぶりに呼ばれたその名前。


倉庫にいる時はニックネームで呼ぶのが義務付けられている。


スパイがもし潜り込んでいた場合、本名だとそこから情報が出てくる。


そうしてしまうと、家族や大切な人が人質にされ、脅される場合があるから。


そうならないためにも、族に入る時にニックネームを決める。


みんなの本名を知るのは総長だけ。


ユキとユウとシノは〝本当〟の私を知っているから、本名も知っている。


「ありがとう。久しぶりのこの格好は楽ね。気を張らなくても大丈夫だもん」


「やっぱり男装は気を張るんですか?」


「うん、バレたら仕事どころじゃないからね」


まだ共学だったらマシだったけど…男子校だからね。


油断は出来ないのですよ。


「ユキー!いつまでユズを呼びに行ってんのー?」


「はわわっ、そうでした!ユウさんが呼んでました!」


うん、今更だね。


本人が叫んじゃったし。


「りょーかい。ほら、ユキも行くよ」


「はい!」


部屋に戻ると、ウトウトしているシノと、パソコンと睨みっこしているユウの姿が。


シノはなんでそんなに眠いのかな?


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