いつだって、私は。
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「__赤葦、さん」
頭の中でぐるぐる、周り疲れた彼の名前が口の中で踊る。
私が呟いた自分の名前を聞いて赤葦さんは苦笑にも近い笑みを浮かべた。
「私は小波一花(さなみ ひとか)です。
…高校1年、です」
いくらか濡れてしまった髪の毛を指先で弄びながら名前を伝えると、赤葦さんは「小波一花、さん」と言葉を口の中で呟いた。
小波一花。お父さんの家の苗字と、お母さんがつけてくれた名前。
もともと好きだなぁって思える、名前だったけれど。赤葦さんが呟いただけでなんていうか、こうふわってして。
名前が輝いた感じがするっていうか。
赤葦さんはふわりと口元を緩めて、優しそうな笑みを浮かべた
素敵な、綺麗な笑顔だ。ただそう思った。
「同じ制服着てるのに見たことないなあって思ってたんですけど、学年違ったんですね」
目尻を優しそうに下げて綺麗に笑った赤葦さん。
その笑顔が、胸の奥にこびりついて離れなくなった。