いつだって、私は。

.




トクン、不意に鳴り響く鼓動の音。
それはどんどん大きくなって激しさを増して。いつの間にか熱さを全身に運んでいた。









「…あ、一花さん。


髪めちゃくちゃ濡れてる」









赤葦さんの大きい手が、長い指が。ゆっくりと私の髪に触れる。
しっとりと濡れた髪が赤葦さんの指に絡みつく。
それだけのことに心臓が激しく波打った。


赤葦さんは私の髪から手を離すと、持っていたエナメルバッグを開けて。爽やかな水色のスポーツタオルを取り出した。


それを、私の髪にふわりとかぶせた。









「女の子は髪ちゃんと乾かさないと風邪引くよ。
それに雨水は軋むから。特にこんな綺麗な髪ならちゃんと乾かさなきゃ」









少し乱暴に、でも丁寧に。赤葦さんの手がタオル越しに私の頭の上を行ったり来たり。
なんだか撫でられているみたいな錯覚に陥る。









トクン、トクン。
いつもよりも急いで動く心臓が、苦しいのに心地いいって。どこか怖いのに楽しいって。そんな訴えをしているように感じる。


顔に熱が集中した。
激しく波打つ心臓の音をすぐそばで捉える耳の神経を気にしないようにしながら。
私は赤葦さんの手だけを感じていた。
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