EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ




「ほら、桃もやりなよ。ストレス発散できるよ」

「わ、私は…やめと――」

「やれよ」

逆らえるはずがなかった。

桃も月那と同じで気弱なのだ。

布団でグルグル巻きにされた月那を蹴ろと命令されたら蹴るしかない。


(ゴメンね…月那ちゃん)


顔を強張らせながら月那の腹を軽く蹴る。

畳に転がされている月那は抵抗もできずにされるがままの状態だ。

「そんなんじゃストレス発散にならなくない?もっと強く蹴りなよ。こうやってさ!」

「ぐっ…!」

容赦ない蹴りが月那の腹に入る。

痛みに呻いた時、ガラリと部屋の襖が開いた。


「お前ら何やってんだよ!?」

駿だった。


「月那に何してんだ!!ヤメロ!!」

三人の姿が居間にないので様子を見に来た駿。

イジメの決定的な現場を目撃して怒りを露わに怒鳴った。

「げっ…駿くん」

「どけ一佳!」

グッタリしている月那を布団から解放し、抱き上げる。

駿は女子の部屋から出て自分の寝室に月那を運んだ。


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