Happy New Life!【完】
「最低……」
 
 手の中で震えるスマホの電源を落として、私はその場で泣き続けた。

 それが八月の話。

 私には亨との物理的な距離が、心の距離をも広げてしまったように感じた。

 いつもの喧嘩じゃない。それはわかっていた。

「これ以上距離を置いてどうするのよ?」

 今でも十分遠い場所にいる。ここより遠い場所なんてあるの?

 私は亨の言葉よりも自分が発してしまった言葉がショックで、しばらく立ち直ることができなかった。

 亨の「距離を置こう」は私にとっては別れの宣告と一緒だった。

 少なくても一日一度あったメールもなくなり、電話もかかってこない。

 考えてみれば、いつも亨が私の仕事の時間を考えて連絡してきてくれていた。

 “一緒にいるための努力”は亨だけがしてきたのかもしれない。

 私の努力不足から今回のことが起きたと思うと、私からはますます連絡がしづらくなった。
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