Happy New Life!【完】
「エンゲージリングを」

「……エンゲージ……ですか?」

 誰に渡すの?

 この四ヶ月の間に、いやもっと前からほかに誕生日を一緒に過ごす相手がいたのかもしれない。

 私が亨への思いを新しい年を迎えるにあたって整理したいと思ったのと同じように、中途半端になっていた私との関係をはっきりと終わらせるつもりなのだろうか?

 緊張でうまく声が出せずに、喉がひゅっと音を立てた。

「ご予算は……サ、サイズは……おわかりでしょうか?」

 動揺する姿は見せたくない。あのとき亨へついて行くことを拒否して仕事をとったのに無様な姿は見せたくなかった。

 なるべく冷静に見える様にしなきゃ……。

 私は震える指先を悟られないように、ショーケースにかけていた手を自分の背後に隠そうとする。

 そのとき、亨の手が私の左手をつかんだ。

「柔らかくて白くてあったかい……この手の薬指に似合う指輪が欲しいんです」

 亨は私の目を射抜くように真剣に見つめていた。

 久しぶりにちゃんと亨の顔を見て泣きそうになる。
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