吸血鬼くんの話、
「ひかり……。心配した…」
元気そうな顔を見れて少しほっとした。
満月も落ち着いたようで表情が和らぐ。
「明と満月ちゃんだー!一緒に帰ろー?」
ひかりはそう言って俺に抱きついた。
服越しに感じるひかりの体温にドキドキする。
やっぱり、ひかりのそばが一番落ち着く。
ぎゅっと、抱き返す。
「うん。…早く帰ろう」
心配なのはひかりの体調だ。
今も少し咳き込んでいる。
「ルーニャ。約束通りこの案件は俺が解決する。期限はあるか?」
ひかりが部屋から出てきたときからずっと、不機嫌に椅子に腰かけていたルーニャ。
「今月中ならいつでもいいわぁ。犯人を私の目の前までつれてきてねぇ」
生死はとはない。そう付け加えた。
解決すると意気込んでみたけどアテはない。
精々探偵家業である部長に情報を求めるのが限界であった。
ひかりに離れてもらい、家に帰る。
ひかりが急に倒れたりしないか心配だったので人通りの多いところは手を繋いであるいた。
ひかりは恥ずかしそうに。でも、嬉しそうに握り返し、優しく微笑んだ。
それだけでグラッとくる。
俺がひかりを好きなこと、ひかりは知ってるのかな。
気づかれて、なかったらいい。
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