吸血鬼くんの話、
吸血鬼くんと体調不良
「ただいまー」
ひかりを迎えに行っただけですごく疲れた。
俺の声に続きひかりが
「たっだいまー!」
と元気よく叫ぶ。
満月はひかりの妙な雰囲気に圧倒され、口数が少なくなっている。
「ひかり。お前はもう寝とけ」
ひかりのテンションが高いときは大体体調が悪い。
今も少しふらついているから心配。
「なーんーでー?私は元気だよー!」
嫌がるひかりを引きずるように彼女の部屋につれていく。
「元気じゃないだろ。呼吸も多いし脈も早い。休んどけ……な?」
諭すように柔らかく説得する。
ひかりは頬を膨らませてごねる。
「やだー!明と一緒にいる!一緒じゃなきゃやだー!」
そんな姿もかわいいのだが咳き込む姿を見ると心配の方が勝る。
「わかった。ひかりが寝るまで一緒にいる。それでいいか?」
ひかりが折れるのを待つ。
「むー。明ー、私のこと子供だと思ってるでしょー」
ふてくされてるのは変わらないけど少し笑った。
「そう思われたくないならもっとしっかりすることだな」
ひかりだけを部屋に残し、一旦廊下に出る。
満月が不思議そうに見つめ
「なぜ、部屋の外に出たのだ?寝るまでは一緒にいるんじゃ…」
疑問を投げかける。
俺は微笑み、満月の頭に手を乗せ
「俺が部屋にいたら、ひかりが着替えられないだろ?だから、ここでいつも待ってるんだ」
と、答えた。
ひかりが体調を崩し、俺にそばにいるよう要求してくるのは昔からだ。
もうなれたし、寂しいって言ってくれるのは素直に嬉しい。
< 25 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop