俺、共犯者と秘密共有中。
 バイトが終わり、裏口から出ると、俺より少し先に帰っていたはずの先輩が、待ち伏せをしていたかのように前方を塞いだ。


「あのさあ、……送別会のこと、なんだけど……。」


 なんとなく、先輩の言いたいことがわかってしまい、俺は言いづらそうにしている先輩の言葉を遮った。


「行きますよ。先輩達の間でどういう話になってるかは知りませんけど、……俺はちゃんと、好きですから。美咲ちゃんのこと。」

「え……。」


 にっこりと笑みを浮かべると、先輩は少し顔を赤らめた。


 かと思うと、少し恥ずかしそうに笑う。


 ……言った自分も、正直恥ずかしくなった。


「あー、なんだそっかぁー。うん、よかったよかった。」


 そして先輩は、そこで少し考え込むように黙ると、ふう、と軽く息を吐いて続けた。


「……でも本当によかったなあ。知ってた?みんなさあ、あんたらのこと影でずっと応援してたんだよ。

 なのに当の本人達は全然、お互い何にも気づいてない感じでさ。もどかしかったわほんと!」

「スミマセン、……なんか。」


 俺が軽く頭を下げると、先輩はニシシ、といたずらっぽく笑った。


「まあ、終わり良ければすべて良し?」


 そうして、頑張って、と付け足すと、俺の頭をぐしゃぐしゃにかき混ぜて帰っていった。


 みんなが応援してくれていたことを知って、俺は再度頑張らねば、という気持ちになった。


 どうしても、彼女に会いに行こうとすると、最後の日のことが浮かぶ。


 また突き放すような言葉を投げかけられると、俺はもう立ち直れなくなりそうだ。


 でも、……聖也の気持ちや、バイトのみんなのことを思うと、ここで負けてはいけない。


 ……さて、どうするかな。
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