孤独女と王子様
『剛様、そろそろご出発の時間です』

あ、しまった。
もう出なければ。

「僕には、由依ちゃんの調査結果は教えてくれないんだね」
『通常、依頼者以外の方にご報告をすることはできません。ご兄弟であっても守秘義務がありますから。でも、神戸さんとお付き合いがあるのなら、遅かれ早かれ分かることです』

斉木はそう言うと"失礼いたしました"と僕の部屋を出て行った。

その後、出勤途上の電車の中から送った由依ちゃんへのメールは至って簡単なものにした。

―"おはよう。そしてお疲れ様でした。水曜日会えるのを楽しみにしているよ。"―

由依ちゃんからは、

―"今週は、疲れているので読書タイムにしましょう"―

と、返信が返ってきた。

意外と普通のやりとり。
由依ちゃんに何があったのかはメールからは全く分からない。

いつも通りに接すればいいのだろうか。
それともそれだと由依ちゃんの心の闇に再び僕が蓋をする行為になってしまう。

だからいっそのこと問いただすべきなのか。

僕は、迷った。
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