孤独女と王子様
「いや、ごく普通の一般人だけど」
『うっそ。メイクもなしにこの美しさ?うちの事務所にスカウトしたい』
「冗談はやめてよ。由依ちゃんは僕だけの花なの」

僕がそう言うと、画面を見ながら母さんは微笑んで、そして僕を下から見上げるように見た。

『へぇ、由依ちゃんって言うんだ』
「邪魔しないでもらえる?」
『付き合ってどれくらい?』
「どれくらいも何も、まだ始まってないよ」
『は?』

僕は、微妙な関係であることを母さんに話した。

『ふぅん。随分と慎重なのね。2人ともまだ若いのに。思いっきりアンタもぶつかっちゃえばいいのに』
「当たって砕けるくらいなら、友達でいた方がマシ」
『そんなに御曹司に抵抗があるのかしらねぇ』

僕の携帯の画面を見ながらしばらく考えていた母さん。

『この子、誰かに似てるのよね』
「誰だろ?僕はリスっぽいと思ったけど」
『違うわよ。そういうのじゃなくて、具体的な誰かよ』
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