孤独女と王子様
母さんは女優。
でも女優って、男性的な性格じゃないと出来ないと、常日頃僕には言っている。

『去年会った時くらいからさ、剛の顔つきがちょっと変わったような気がするんだよね』
「そりゃそうでしょ。年齢も重ねるし、社会人の苦労もあるの」
『それだけじゃないでしょ』

母さんは鋭い。

『ちょっと、携帯見せなさいよ』
「は?」

いくら母さんでもそれはナシでしょ。

『別に着信履歴やメールの文面を見るわけじゃないわ』

母さんは言い出したら後には引かない。
どうせロック掛けているから、見られないし。

あ、でもひとつだけ・・・

"どうぞ"と僕は携帯を渡した。

母さんは携帯の画面を開くと、

『やっぱりね』

と呟いた。

『この子、どこの女優さん?』

女優?
僕の携帯の待ち受け画面は、コスモスの花と一緒に写る由依ちゃんの微笑んだ顔なんだけど。
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