孤独女と王子様
―"剛へ。昨日は遠いところ来てくれてありがとう。大事なうちの娘をぶっ壊さない程度に愛してやってくれ、俺の分もな"―

この文章に私は笑ってしまった。

『全く、舟さんらしいよ』
「昔からこういう人なの?」
『僕の知る限りはね』

私達は剛さんの車に乗り、高速の上にいる。

『舟さんは、環境的には"御曹司"だけど、本人がそんな環境をイヤがってね。ナルガク大には入ったけど、海外の大学の研究室に入って勉強しながら現地でアルバイトをして、自由奔放だった。日本に戻ってきて、鍬形とは関係ない電気メーカーに技術者として就職したんだ』

そしてその就職から3ヶ月後、当時高校2年生だったお母さんと出会ったお父さん。

程なく恋に落ちるが、私の祖父にあたるおかあさんのお父さんが、勤務先でトラブルを起こし、逮捕されてしまう。

お母さん本人にはもちろん関係ないことだけど、鍬形グループの御曹司との付き合いは、家柄が大事。

そこで、密かに2人の愛の"証"として残したのが、私だった。
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