孤独女と王子様
ここまで来ると、個人の仕事における責任感の問題だ。

「伝え方はどうあれ、新婦は納得した説明を受けていないことに変わりはありません。宇梶さんの誠意ある対応が必要かと思います。それと、報告書は"リスク報告"として宴会部長に上げます。いいですね?」

宇梶さんは僕を睨み付けると、

『このホテルで働く意味がなくなったわ』

と、言い残して会議室を出て行った。

『何だかおかしな展開になりましたね』
「親が口を挟む場面ではないと思います。仮にも、娘さんは社会人ですから」
『娘の思う通りに動いてあげないと無視されるんです。今回もそうですけど、貴方にあんな言い方して娘に加勢しないと、全く相手にされなくなってしまって』

親離れ、子離れが出来てないんだな、この親子は。

「本当にお調べになるおつもりですか?僕の彼女のことを」
『調べないと、無視されますから』
「上場企業の社長さんが、何か情けないですね」

父親は机に両肘をついてうなだれた。
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