孤独女と王子様
良美さんとは、ホテルで週末に良く会う。
会場装花を担当したり、ブーケを届けたり。
人気フローリストなのだ。

一方、僕の父は浮気ばっかり…はどうも卒業したみたい。
今の義母にあたる貴子さんを大事にしている。
…ように僕には見える。

「神戸さん、両親はご健在?」

すると、神戸さんの顔が急に厳しくなったのが分かった。

『父はいません。母ともケンカばっかりで、東京に出てきてからは一度も実家に帰ってないです』

僕は地雷を踏んでしまったのか?
空気が悪くなったのを感じたマスターが、それまで黙っていた口を開く。

『神戸さん、お腹空いてない?これ、良かったら食べてよ』

と、出したのは、特製のビーフシチュー。
美味しそうないい匂いが立ち込めた。

「僕の分は?」
『お前もお腹空いているのか。しょうがねーなぁ。特別だぞ』
「神戸さんと僕とで、扱いが違いすぎでしょ」

悪態つきながらもマスターは僕の分のビーフシチューも出してくれた。
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