孤独女と王子様
神戸さんはマスターのビーフシチューを"美味しいですね"と言って食べてくれた。

「神戸さんの地元はどこですか?」

僕もビーフシチューを食し、その合間に質問をする。

『群馬県です』
「今は、東京でひとり暮らし?」
『はい』

18から女の子1人で上京か。
それはそんなに珍しいことではないけど、1人暮らしの経験がない僕には、彼女が立派に見えた。

可愛く見えたり、立派に見えたり。
忙しいなぁ、僕は。

「明日は休みですよね。休みの日は何をしているのですか?」
『本を読みます。ジャンルを問わず、話題の本や、私自身が興味を持った本を読みあさりますよ』

仕事も、休みも、すべて本のことばかり考えているのだろうか。

「出掛けたりはなさらないのですか?友達とショッピングとか、彼氏とデートとか」
『私、彼氏はおろか、友達もいませんから』

そう僕に冷たく言い放つと、目の前のビーフシチューを最後まで食べ切った神戸さん。
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