孤独女と王子様
『このホテルの人にたくさんお礼してもらいなよ。うちのイベント担当が手伝ったんだよ、って。あ、あのイケメンタキシードさんにそう言えば、お近づきになれるかな』
「やめてよ。私はただ、佐々木くんの披露宴が滞りなく終了できればそれでいいの」

ノゾミちゃんは冗談とも本気とも取れない言い方をするもんだから、私もどう返したらいいか迷う。

披露宴が終わり、みんなが2次会に向かう中、私は"彼がここまで迎えに来てくれるんだ"と、軽く嘘をつき、ロビーに留まった。

みんながいなくなったところで、剛さんと待ち合わせをしている地下1階の最初にいた控室に入った。

挙式はもう行われていないらしく、辺りはシーンとしている。
周りには何もないので、時間が経つのがとにかく遅く感じる。

いつまで待てばいいのだろう?
そう思い始めた時、

"コンコン"

剛さんがタキシードから普通のスーツに着替えて入ってきた。

『お待たせ』

そうニッコリ笑った剛さん。

「せっかくならタキシードのままが良かったな」
『もう勤務時間が終了しているの。蝶ネクタイはしたくない』

そう言うと剛さんは、私が座る長椅子の横に座った。
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