孤独女と王子様
由依ちゃんの涙が僕の着ているTシャツも濡らす。

そんな僕達の一部始終を見ていたであろう、後ろの彼。
さて、どうするかな。

きっと彼は"送り狼"を狙っていたのだろうけど、僕がここにいて良かったと心底思った。

『彼氏さん、ですか?』
「そうですけど」

だから、今は夜中。
ここでの会話も近所迷惑。

でもこのまま彼を帰すのは勿体無いと思った。
多分、今日のイベントの関係者だろう。

今後も由依ちゃんと関わるかも知れないと思ったら、ここは由依ちゃんとの仲を見せつけるいい機会だ。

「さぁ、貴方も中へお入りください。お茶、ご用意しますよ」
『いや、僕は…帰ります。明日も仕事なので』
「そんなことなら、明日は僕だって仕事です。さらに酒を飲ませるわけじゃないですし、それに貴方はまだ若いみたいですから、まだ明日を考えて行動する年齢じゃないでしょう」
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