孤独女と王子様
☆本当に驚いた時、私の場合は瞬きを忘れるらしい~side YUI~
柳井くんが帰ってから、より一層いつもより私の体を離さなくなった剛さん。

でもいいの。
多分私も逆の立場なら嫉妬する。

きっと剛さんに"帰らないで"と言ってずっと引っ付いてしまうだろうから…

『早いところ、僕の父にも会ってもらいないな』

剛さんはそう言って私を背後から抱き締める。

「成瀬川家の当主で、龍成社の社長でしょ?ハードル高いなぁ」

私みたいな庶民には雲の上の存在。

『何を言っているの?鍬形家の血を引くお嬢様が』
「私にそんな自覚は全くないもん」

突然、鍬形家の娘だと言われたって、困る。

確かに"お父さん"の存在に憧れて、運動会や父親参観日の時は、周りがうらやましかったから、お父さんと呼べる人が現れたことは嬉しいけどね。

私は剛さんがいれば十分だもん。
< 241 / 439 >

この作品をシェア

pagetop