孤独女と王子様
外が明るくなり始めた午前5時半。

彼が帰ってからそれでも3時間しか経っていない。

「由依ちゃん。たまにはふたりで壊れようか」
『え?』
「由依ちゃんは体調不良で休む。僕は朝の定例会議だけ出てまたここに帰ってくるよ」

僕は由依ちゃんの耳元で囁いた。

それでも会議は9時から。
出社するにはまだ早い。

「ごめん、無茶な提案だったよね。まだまだ由依ちゃんとこうしていたいんだ。無理なら、出社ギリギリまで愛し合いたい」

と僕は由依ちゃんをきつく抱き締めた。

『私が出社しようがズル休みしようが、出社ギリギリまで抱かれる勢いだよね、これは』

と、由依ちゃんは僕を見てニッコリ笑った。

『私、こう見えて体は丈夫でね。入社してから体調不良で休んだことが一度もないし、友達もいないから、有給休暇が余っているの』
「じゃ、決まりだね」

有言実行。
本当に僕は会議が終わった後も、由依ちゃんの体を離すことはなかった。

彼への嫉妬の炎がようやく収まってきたと感じたのは、その日の夕方になってからだった。
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