孤独女と王子様
小林さんの後を剛さんとついて行き、手前のダイニングのような部屋に通された。

『こちらでお待ちください、舟様は間もなくこちらに参りますので』

と、私達に告げて、一旦部屋から去る小林さん。

「広い、広いよ、このお家」
『驚いちゃだめだよ。由依ちゃんはここの当主の娘なんだから』
「だから、そんなの実感がないって言ってるでしょ」

"コンコン"
ドアのノック音。

入ってきたのは、お父さん。

『ごめんね、本当はエントランスで出迎えたいところだったのに、電話が入ってしまって』

穏やかに話すお父さんは、ワイシャツにスラックス。
でも、ダイニングの奥の定位置と思われる椅子に座ると、ネクタイを外した。

その姿・・・ちょっとカッコ良かったかも。

『おい、見惚れるな。あの人は由依ちゃんのお父さんだよ』

と、剛さんに気付かれて釘を刺された。
そんなこと言われたって、お父さんって思えるのには、かなり無理があるよ。
< 304 / 439 >

この作品をシェア

pagetop