孤独女と王子様
『由依、仕事帰りか?』
「うん」

敬語を抜いて話せば、距離も縮まるのではないかと思って、メールや電話でも使わないようにしている。

『なら、夕飯まだじゃないのか?』
「食べてないよ」
『ごめんね。急に決めたから由依の仕事のことまでは考えられなかった』
「いいよ。明日は休みだし」

明日は水曜日だから剛さんも私も休み。
だからむしろ丁度良かった。

『それならここで一緒に夕飯を食べよう。俺もまだなんだ』

今、時刻は21時。
剛さんは家で済ませてきたらしい。

それを知っているのでお父さんの提案を聞いて剛さんを見ると、

"大丈夫。僕も君達親子に付き合うよ"と小声で話してくれた。

『おい、ふたりでイチャイチャするのはここでは止めてくれよ』
『分かってるよ。おとうさまにはお見せしません』

剛さんは明らかにふざけて"おとうさま"と言っている。
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