孤独女と王子様
「だって、鍬形のお家だから、自分達で保有しているのかな、って思って。お父さんがアウトドアを趣味にしているなら、尚更」
『結構維持費がかかるだろ?年に何度も使わない車に金は掛けられないし、面倒だし』
「そうなんだね」

すると、お父さんは横に何本か置いてあったビールの缶のうちの1本を、私に"はい"と渡してきた。

お父さんも1本の缶を開け、

『由依も飲もうよ』

と言われたので私も合わせた。

"カン"と音を立てて缶を合わせ、飲み始めた私達。

剛さん、ごめん。
まだ啓慈くんと遊んでいるのに、私だけ先に飲んじゃった。

『会社の経営って言うのはいつも業績がいいわけじゃないんだ。鍬形の場合は銀行、デパート経営が主だけど、どうしても景気の波に合わせて浮き沈みがある』

お父さんはさらにビールを煽った。
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