孤独女と王子様
『由依、こっちで野菜切ってもらえる?』

お母さんにそう言われて、野菜類を全部切る。

そしてザルに入れて外に持って行く私。

炭火で既に火を起こしていたお父さんが、肉を串に刺していた。

『あと、律子がご飯を炊いてくれているから、それを待って焼き始めよう』
「どこで炊いているの?」
『今見なかった?車の中にジャーがあるだろ』

今どきは飯盒炊爨(はんごうすいさん)でごはんは炊かないんだね。
すごいな、このキャンピングカー。

「この車、高そうだね」
『買うとね。でもこれはレンタルだから』
「レンタル?」

鍬形家の当主から"レンタル"なんていうキーワードを口にされるとは思わなかった。

『何だよ、そんな意外そうな顔をして』

私と似た顔で椅子に座って串に材料を刺す手を止めて、立っていた私を下から見上げた。
< 369 / 439 >

この作品をシェア

pagetop