孤独女と王子様
『今回のパーティーは我々鍬形コンツェルン50周年記念と、もう1つの目的があって、お集まりいただきました。おくつろぎいただく前に、私の報告にお付き合いください』

会場内が静かになった。

『私、鍬形舟は3年前に、22年の結婚生活だった妻を亡くしました。しかし、その妻との間に、子供はいませんでした。なぜなら、その妻は、結婚前から重い心臓の病に伏しており、健常者としての生活が全くできなかったのです。25年前の鍬形コンツェルンは業績が傾いており、大株主の娘であった妻を迎えることで、銀行からの融資に、父が成功させたのです』

お父さんは一息ついた。

『しかし私は、妻と結婚する前から、この人と決めていた女性がいました。彼女は当時高校2年生。私は24歳の駆け出しの社会人で、とても父の牙城は崩せるものではありませんでした。止むなく彼女と別れるにあたり、私達は究極の選択をしたのです』

それは、私という子供を作ること―

それを聞いた会場はざわついた。
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