孤独女と王子様
あの母さんが"ごめんね"だって。
母さんの口から謝罪の言葉を聞くって、嵐になるから止めて欲しい。

『いえ、来ていただいただけでも、私嬉しいです。ありがとうございます』
『由依ちゃんはそればっかりなんだから。これでもね、私はこの子を産んだことはあるのよ』

と、僕を指差した。

すると、由依ちゃんの携帯が鳴った。

『あ、お父さんだ。はい・・・うん・・・そう、良かった、おめでとうお父さん。お母さんは大丈夫そう?・・うん、分かった。もし余裕があれば来て。こっちはまだ剛さんと里絵子さんと一緒に家にいるから・・・そうなの。だから大丈夫だよ。じゃぁね』

明らかに、律子さんの出産報告だ。

『生まれたって。2700グラムの女の子。母子ともに大丈夫だって』
「じゃぁ、次は由依ちゃんの番だ」
『お母さんの出産予定日はいつだったの?』
『昨日だったので、ほぼ予定通りかと思います』

すると、母さんはテーブルに肘を置いて微笑んだ。
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