孤独女と王子様
「もったいない?」

私には剛さんの言葉の意味が分からなかった。

『だって、せっかくの由依ちゃんとの時間を、昼寝して過ごすなんて、もったいないよ』
「そんな、私との時間なんて、つまらないですよ」
『僕はまだまだ由依ちゃんにはポテンシャルを引き出せるように思うけどな。叩けばいいところが沢山出てくる』

椅子に座っている剛さんは、向かい側の椅子に座った私に向かって微笑んだ。

「分かりました。私も寝ます。って言うか、眠いです」
『うん。目が眠そうだね』

私が寝れば、剛さんも寝てくれると思ったので、私は片側のベッドに潜った。

すると剛さんは、私が横になったベッドの前でしゃがんだ。

『おやすみ、由依ちゃん』

そう言って、私の意識が薄れるまで頭をずっと撫でてくれた。

遠い記憶で私のおでこに柔らかい感触を覚えたような気がしたけど、心地よい眠りに拍車をかける気持ちのいいものだった。
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