シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~

潮風は初恋を乗せて

「ちっ。全く……。いいところで……」
 ショウ君は、舌打ちをして言う。
 落ち着いてる場合じゃないって!
 私は慌てて、脱いだばかりの服を手に取った。
 だけど、慌ててるせいで、素早く着られない。
「ちょっと、舌打ちなんかしてたら、ドアの外にいる方に聞こえちゃうよ。もしかしたら、桜ヶ丘さんかも」
「いや、さっきのメールの時間から考えるに、まだ会長がご到着されるはずがないぞ」
「じゃ、じゃあ、烏丸さん?」
「はぁ、しょうがない……。おい、雫……大急ぎで服を着るんだ」
 ため息をつきながら言うショウ君。
 そして、私たちはベッドをサッと離れ、おのおの大急ぎで服を着た。
 その後、何事もなかったかのように椅子に座る私たち。
 お互い準備が整ったところで、ショウ君はドアに向かって、大きな声で言う。
「はい、どうぞ」
 ドアが静かに開く。
 入ってきたのは―――。
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