シーサイド・ティアーズ~潮風は初恋を乗せて~
 コン、コン、コン。
 蓮藤さんの部屋のドアを、三度ノックする私。
 聞いた話では、「二度のノックは、お手洗いを連想させるから失礼にあたることもある」らしいので。
 そこまで神経質にならなくてもよい気もするけれど、とりあえず、失礼になる可能性がある言動は控えたくて。
「はい、どなたでしょう?」
 中から蓮藤さんの声がして、すぐにドアを開けてくれた。
「あら、雫様。どうかなさいましたか?」
 心配そうな表情の蓮藤さん。
 顔を見るだけで、私はドキドキしてしまい、喉がカラカラだった。
 決意が鈍っていくのを感じ、慌てて気を引き締める私。
「す、すみません。ちょっとお話がございまして……。内々にお願いしたいので……お部屋の中でお話させていただいても、よろしいでしょうか?」
 私は声を振り絞って言った。
「ええ、かまいませんよ。殺風景な部屋ですが、お入りください」
 そう言って、蓮藤さんは自室へと迎え入れてくれた。
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