もう一度君の笑顔を
真実

光輝side

小さい頃、母に何気なく

「どうしてお母さんと、お父さんは結婚したの?」


そう尋ねると、


「おばあちゃんが結婚しろって煩いから、お父さんに結婚してって頼んだのよ。」


そう答えた。


その時は、その言葉の意味が分からなかったが、大きくなるに連れて理解した。



母は、父が好きで結婚した訳ではないと。


そして、同じく父も母が好きな訳ではないと。


ただ、二人の利害が一致したから結婚したのだと。




仕事人間だった父と母。


小さい頃こそ3人で一緒に食事をしていたが、俺が中学校に上がってからはそんな記憶は皆無だ。



二人は決して仲が悪かったわげではないが、夫婦というより、同士といった感じだった。



そんな二人は、俺も対等に扱った。



俺の意見は尊重してくれたし、信頼もしてくれていたと思う。



でも、親が子に向ける『無償の愛』そんなものはなかった。



抱きしめられた記憶も、頭をなでられた記憶も無い。



俺は、愛するという事も、愛されるという事もわからないまま成長した。



小さい頃から、両親に褒められたい一心で、何事にも努力を惜しまなかった俺は、成績も運動神経も良かった。


そんな俺は中学校にあがった頃から、頻繁に告白されるようになる。


俺だって年頃だったから可愛い子に告白されれば悪い気はしなかった。


だが、実際に付き合ってみると長続きしない。


『光輝は私の事本当に好きなの?』


そう尋ねられて、『好き』という事がわからなかった俺は、何も言えないでいた。


当然、そんな恋愛は長続きするわけもなく、あっと言う間に終わっていく。


別れて、また、誰かに告白されて付き合う。そしてまた別れる。


それの繰り返しだった。
< 22 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop