もう一度君の笑顔を
それからの俺は仕事もプライベートも絶好調だった。


営業である友紀は、月末になるにつれて忙しくなる。


なので、俺は比較的余裕のある月の初めは必ず友紀を誘った。



特に、金曜日は翌日が休みでゆっくりできるから、必ず会った。


友紀と付き合って初めて、今までの彼女に自分の気持ちを疑われた理由を理解した。


俺は元カノが言った通り、彼女達を愛しては居なかったのだ。



初めて人を愛するという事を知った俺は、その感情に戸惑いながらも、俺の思いを受け止めてくれる友紀を増々好きになって行った。



そんな俺たちの転機は、付き合い始めて半年が過ぎた頃だった。



その日は金曜日だったが、同じ部の同僚との見に行く約束が会った俺は、友紀を誘わなかった。


そして、俺は、飲んだ帰り、友紀を見かけた。


少し離れた所から見る後ろ姿は間違いなく友紀のモノで、その横には見知らぬ男が歩いていた。



仕事関係の相手だろう・・・


そう自分に言い聞かせながらも、二人の後を付けてしまった。


そして、大通り沿いに出た友紀達はタクシーを拾った。


それに友紀が乗り込み、扉が閉まると思いきや、その男も乗り込みタクシーはそのまま走り去ってしまった。



俺は、その場から動くとこが出来無かった。



浮気?

そんな言葉が頭をよぎる。


しかし、それをすぐに打ち消した。


付き合って分かったとこだが、友紀は恋愛経験はほとんどない。


その初々しさが増々彼女を好きになった一因だった。


そんな彼女が浮気なんてするはずもない。



じゃあ、さっきの男は誰だ?



父親?は彼女が幼少の頃に他界したと聞いている。


兄?はいない。友紀は一人っ子だ。


友紀に聞けばいいじゃないか。


そうも思ったが、今まで他の異性との付き合いを当時の彼女に詮索され制限さるのにうんざりしていたのを思い出す。


もし、俺が友紀にさっきの男との関係を問いただすようなメールを送ったら?友紀は俺を煩わしく思うだろうか・・・


そう思うと、何も出来なかった。

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