もう一度君の笑顔を
それから、友紀は俺と会っているときでさえ、少し不安そうな顔をするようになった。



その顔を見るたびに俺の中に罪悪感と喜びが入り交じる。



友紀が俺の事で不安になっているのが嬉しくて仕方なかった。




そんな感情が落ち着いて来た頃、大学時代の友人が結婚する事になった。


その前に仲の良かった連中で集まろうという話が持ち上がった。


それは運悪く10月の一番始めの金曜だった。


どうするべきか悩む俺。


最近、友紀を不安にさせている自覚があるだけに、友紀と過ごしたいのは山々だが・・・。



だからといって、遠距離でもない彼女と会うからといって断るのは気が引ける。



結局俺は、集まりに参加する事にした。




たまたま社内で見かけた友紀に声をかける。


「友紀!」


「あぁ!光輝、どうしたの?」


「あのさ・・・10月の始めの金曜は予定が入りそうなんだ。

 大学時代のツレが結婚する事になってみんなで集まろうかって・・・」



何だか悪くて言い訳する俺に、


「丁度良かった!!

 実はその日、叔父の誕生日で毎年一緒に祝うんだけど、今年は別の日にしてもらおうかと思ってたところだったの。

 光輝に予定があるなら、当日祝ってあげられるし!」


嬉しげに言う友紀を見て、俺の心はまた不安にかられる。


丁度良かった?


叔父の誕生日?


何だそれ?


普通、叔父の誕生日何て毎年祝うか??



本当は別の男に会うんじゃないか?


疑問に思っても口に出来ずに居る俺は、何だか友紀に俺と会えなくても良いと言わいるようにさえ感じた。


それから友紀とどんな会話をしたか覚えていない。



結局、集まりの当日も上の空だった俺は、みんなに心配されるのだった。




もう、何が何だかわからない俺は、別の女からの誘いを断ることも面倒になって、次々に誘いに乗った。


食事だけとは言え、行くたびに募る罪悪感。



他の女と過ごしても、友紀が頭から離れる事は無い。



もうそろそろ決着を付けようと決意した矢先、俺は友紀に別れを告げられた。





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