もう一度君の笑顔を

梨花side

レストランを出ると思わずため息が出た。


もうすぐクリスマス、街はイルミネーションで華やかにに彩られている。


だが、私にはそんなこと関係ない。


年末は、死ぬほど忙しいし、彼氏もいないのでクリスマスとは無縁だ。



自分の恋愛もまともにしていないのに、他人の恋愛ごとに首を突っ込むなんて、キャラじゃない。


しかしそれくらい、今の状況は酷いのだ。


同僚で友人でもある友紀の顔が脳裏に浮かんだ。



人を貶める事も、出し抜く事もしない、彼女には、自分の今置かれている状況を打破することは出来ない。


だから、もうアラサーにさしかかった良い大人にも関わらず、恋愛の事で頭が一杯の女子高生みたいなことやってしまった。


否、高校時代にもこんなことやったことはない。



むしろ、他人の彼氏に色目を使ったとかで、身に覚えも無い難癖を付けて来る集団を冷ややかな目で見ていた側だったのにな・・・。



小さい事から可愛いと言われ、ちやほやされるのが当たり前だったのが、嫉妬と妬みに変わったのはいつだっただろうか。



中学時代、友達の彼氏が言いよって来た辺りから?



それが友達に知れると、私が悪者になった。



誰も私を信じてはくれなかった。



今まで友達だと思ってきた子から浴びせられる罵声に、女の友情何て当てにならないと悟った。


それから上辺だけの付き合いを続けて来た。高校時代の友人も大学時代の友人にも心許せた記憶は無い。



そんな私が、社会人にもなって、友人の為にこんなことするなんて過去の私には想像もつかないだろう。









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