もう一度君の笑顔を
一気にまくしたて、少しは気が済んだのか、また、声のトーンを下げてこう続けた。


「あんたと友紀の間に何があったのかは知らないわ。

 正直、友紀も分かってないと思うし、友紀は噂通り、あなたが自分に愛想をつかしたんだと思ってる。

 ホントなら、別れるにしてもちゃんと話合うべきだったと思うけど、あの子にそんな余裕は無かったのよ。」


「余裕が無かった?」


「そりゃ、恋人と浮気した相手から毎週毎週報告があれば、精神的にも追いつめられるでしょ?」


吐き捨てるように言われた言葉に耳を疑う。


「・・・浮気相した相手から報告??」


「そうよ。ご丁寧にあんたと食事に行った相手が月曜日の朝わざわざ報告に来てくれるそうよ。」


次々と聞かされる衝撃の事実に頭がついて行かない。


「1週間あげるわ。」


「は?」


「1週間以内に今、広まってる噂を収束させて。」


「そうしたいのは山々だが・・・どうすれば・・・」


戸惑う俺に、林梨花はあきれ顔で言った。


「友紀と付き合ってたことはもう忘れたいから、何も口にしないで欲しい。って言えば良いのよ。」


「は?それじゃあ・・・」


なおさら友紀を傷付けるじゃないか。そう言おうとすると


「今更、そんなことで傷が深くなるレベルじゃないのよ。」


と言われてしまった。


確かに、そうかも知れない。


今日聞いたことはどれも衝撃的で、今までの俺の行動が俺の想像以上に友紀を傷付けていたのだと思い知らされた。



「帰るわ・・・」


そう言って席を立つ林梨花。


気づかないうちにコースも終わっていたようだ。


何を食べたかも分からないが。


俺はただただ去って行く林梨花の後ろ姿を眺めていた。

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