もう一度君の笑顔を
俺は『高城友紀』のプレートがある部屋の前で動けないでいる。


中からはかすかに話し声が聞こえる。



明日にしようか?そんな弱気な考えが頭をよぎる。



でも、今日会えないで、明日会う勇気はあるだろうか?ないだろう。


俺は意を決してドアをノックした。


「はーい。」



中から友紀の声が聞こえる。


俺は震える手でドアを開けた。



中に入るとそこは個室で、病院服を来た友紀がベットの上で座っていた。



頭や腕などに包帯はあるがとりあえず大丈夫そうな姿にホッとする。



「あ、光輝。来てくれたの?」


友紀が笑顔でそう言った。


「あ、あぁ。」


「ありがとう。そんなとこで立ってないで中入っておいでよ!」



何で来たんだみたいな顔をされずにホッした。



「起き上がって大丈夫なのか?」


包帯をグルグル巻かれた頭を見ながら聞くと、友紀は


「大丈夫大丈夫!」


と笑いながら答えたが、



「大丈夫じゃないでしょ!!」


林梨花が横から言った。



「何ヶ月間かの記憶がぶっ飛んでんのに、大丈夫じゃない!!」



「え?」



今、何て言った??



「あー。実は、ちょっと記憶が抜けてるみたいなんだよね。

 もうすぐ夏だったはずなのに、気付けば冬!みたいな。」



何でも無い事の様に言う友紀。


何も言えずに林梨花を見ると、俺の方を見て頷いた。



どうやら、本当らしい。



ちょっと待て。



数ヶ月間の記憶が抜け落ちてるってことは・・・




友紀の中では俺とまだ別れてないってこと??



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